これからの季節は軽くて暖かい羽毛布団が何よりのご褒美。
今年こそは羽毛布団を買おうと思っている方。決して安い買い物ではないので失敗したくないと思っている方へぜひ読んで参考にしてもらいたいと思います。
1.羽毛布団とは
羽毛布団とはダウンを50%以上使用している布団のことを指します。50%以下ですと羽根布団という表記になります。
これまで多くの機能性繊維(発熱繊維など)が開発され、布団の中材として発売されてきましたが、今現在ダウンに勝る素材はないといわれています。
ではなぜダウンが最も優れているのでしょうか?
それはダウンが「軽くて暖かく、調湿作用に優れた素材」だからです。
風が吹けば宙に浮くほど軽く、体温を逃がさない保温力、そして寝汗など布団内の不要な湿気を吸収し、外へ発散してくれる調湿作用を持つダウンは、快眠のために必要な睡眠環境を整えるために不可欠な素材なのです。
羽毛とは
羽毛布団に使われる、羽毛はタンポポの綿毛のようなダウンと、羽軸のついたスモールフェザー(羽)に分けられます。
ダウンは鳥の胸のあたりの羽毛で一羽あたり約10〜20gしか採れません。タンポポの綿毛のように丸くダウンボールとも呼ばれています。このダウンの良し悪しが羽毛布団の「軽量、保温、調湿」の機能に大きな影響を及ぼします。
一方羽軸のついたスモールフェザーは、羽毛布団の弾力性に影響を及ぼします。またフェザーの羽軸には、強度を保つため、多少の油分を残しています。これが押入れから出した時の羽毛布団の匂いの原因の一つになると言われています。
一般的にダウン比率が高い布団の方が軽くて暖かい布団と言われ、近年はダウン比率が90%以上の布団が主流となっています。
羽毛の種類
次に羽毛の種類について説明します。
現在羽毛布団に使用されている鳥はダック(鴨)とグース(水鳥)の2種類に大きく分けられます。
長期間飼育(2ー5年)されたものは、身体も大きくなりマザーダック、マザーグースと呼ばれ、保温力と共に価格も上がります。
ダック→マザーダック→グース→マザーグースの順に身体が大きくなり、比例してダウンボールの大きさも大きくなるため、取れる羽毛の価格も同じ順番で上がります。
またダックとグースの違いは身体の大きさだけではなく、ダックは肉食のため、草食のグースより匂いが強く、布団の匂いトラブルの原因となる事が多いと言われています。
余談ですが、ダックもグースも羽毛布団用として飼育されているのではなく、食用として飼育されています。
つまり羽毛は食用として出荷された鳥の副産物として収穫されたものなのです。ですから基本的には肉質の柔らかい生後2ー3ヶ月で出荷されることが多く、2ー5年飼育されるマザーダックやマザーグースは希少なのです。
グースの肉は、ヨーロッパではよく食べられていて、肉質は少しパサつき、淡白な味だそう。近年は、味のしっかりとした鶏を好む家庭が増えてきたたそうです。その結果グースの生産量が急激に落ちているそうです。
なぜ羽毛は暖かいのか
当然ですが、羽毛自体が発熱するわけではありません。人間の体温で温まった布団の中の空気を外に逃さず、蓄えることで布団の中を暖めるのです。
ということは、より多くの空気を蓄えることができれば布団の中は暖か。
ダウンボール一つ一つがふんわりと大きく膨らみ絡み合うことで、より多くの空気を蓄えることができます。
だからダックよりも大きなダウンボールを持つ、グース。グースよりもさらに大きいマザーグースと、より大きなダウンボールを持つ羽毛が求められるのです。
2.失敗しない羽毛布団の選び方
羽毛布団の基本についてお話しさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。
これからはあなたにあった羽毛布団の選び方についてポイントをご説明させていただきます。
自分にあった羽毛布団を選ぶためにはまずはご自身の体質、寝室の環境を知ることが重要です。
体質
なぜ体質について知る事が大切なのでしょうか。
羽毛布団は自分の体温で暖まった空気を羽毛の中に蓄えることで暖かくなる事は上記に説明しました。一般的に代謝の高い、若い人ほど布団の中は暖まり易く、代謝の低い高齢の方ほど暖まりにくいと言われています。
新陳代謝が高い若い方は保温力の劣る2〜3万円台のダックダウンでも充分暖かく、逆に保温力の高い30万〜50万する高級マザーグースダウンを使用すると暑い、と感じる可能性もあります。
ご自身の体質に合わせて羽毛の種類を選ぶことはとても大切なのです。
住環境
次に検討が必要なことが寝室が置かれている環境です。
まず住まいが北海道なのか、東京なのか、沖縄なのか、地域によって当然冬の期間、気温が異なります。
またマンションか戸建か、古民家かによって家の断熱性能が異なります。一般的にマンションは断熱性が高く、戸建て、古い家になるほど断熱性は落ち、保温力の高い羽毛が求められます。
このように住環境によって羽毛布団に求める性能を検討することも大切です。
側地
羽毛布団の生地を側地(がわじ)と呼びます。側地は布団カバーを掛ければ直接肌には触れることはありませんが、羽毛の軽くて暖かいという特徴を最大限に活かすためにもこだわりたいポイントです。
基本的には軽くて柔らかい側地を選ぶことが大切。
羽毛布団の重さの2/3は側地の重さになります。せっかく軽くて暖かい良質なマザーグースダウンを選んでも側生地が重いと台無しです。
そして羽毛布団が身体にフィットするようドレープ性の高い柔らかい側地を選ぶことで体と布団、羽毛布団とマットレスの間の隙間が少なくなり、保温力が向上します。
ひと昔前は綿100%が高級羽毛布団の代名詞でしたが、近年は科学繊維の技術向上により、ポリエステルでもとても柔らかく風合いの良い側地が増えています。
しかもポリエステルは綿よりも軽いのが最大のメリット。側地の風合いは手で触り比べるとわかりますので購入前に検討中の布団の側地を手で触り柔らかさを、手に持って羽毛布団の重さを確かめてみることが大切です。
側地の素材を確かめるポイントは親指と人差し指で側地をつまみ擦るようにして、側地の柔らかさ、厚さ(厚い生地ほど重い傾向)を確かめること。
重さを確かめる方法は赤ちゃんを抱っこするように両手を天井に向けてその上に乗せるように持つこと。そうすることで手に余分な力が入らず重さを把握する事ができます。
キルティング
羽毛布団が体にフィットするために上記の側地と合わせてこだわりたいのが、キルティングの数です。4×5マス、5×6マスが一般的ですが、5×6マスの方がより体にフィットするため高級な羽毛布団に採用されています。
最近は身体の構造に合わせた立体キルトなど様々なタイプが出ておりますが、基本は体にフィットするキルトの形状であること、1マス1マスの中の羽毛がしっかりと膨らむことができるスペースがあることです。キルティングの数が増えれば増えるほど1マスが小さくなりますので、その点を注意してみる必要があります。
羽毛の充填量
シングルタイプの羽毛布団の、羽毛の充填量は1.2kgから1.5kgが一般的です。同じスペックであれば充填量が多ければ多い方が暖かくなりますが、羽毛の特徴は軽くて暖かいこと、軽さも価値です。
よくテレビショッピングで「今だけ羽毛を500g増量中!」とサービスをしていますが、果たしてそれがメリットなのか?冷静に考える必要があると思います。
羽毛選びの目安
これまで羽毛布団について、羽毛布団の選ぶポイントについて書いてきましたが、年齢、性別によっておススメの布団の種類とおおよその価格をご紹介します。
男性よりも女性の方が新陳代謝が劣る、年齢を重ねると共に新陳代謝が落ちるという基準で選んでいます。
価格は西川オンラインを参考にしました。残念なことにまだまだ羽毛業界では粗悪品が出回っていますので、安心の大手サイトを参考にしました。
男性の目安
❶20代〜30代
- ダックダウン 1.2kg
- 価格:2万円〜3万円
❷40代〜50代
- グースダウン 1.2kg
- 価格:5万円〜8万円
❸60代〜70代
- マザーグースダウン 1.2kg
- 価格:10万円〜20万円
❹80代以上
- マザーグースダウン 1.2kg
- 価格:30万円〜
女性の目安
❶20代〜30代
- グースダウン 1.2kg
- 価格:5万円〜8万円
❷40代〜50代
- マザーグースダウン 1.2kg
- 価格:10万円〜20万円
❸60代〜70代
- マザーグースダウン 1.2kg
- 価格:30万円〜50万円
❹80代以上
- マザーグースダウン(スティッキーダウン) 1.2kg
- 価格:50万円〜
マザーグースダウンは北極圏に近い場所で生息するグースであればあるほど、ダウンボールが大きくなり高額になります。
50万円以上のダウンはスティッキーと言ってダウンボールの毛先がカギ状になっていて、ダウン同士の結びつきが強く、保温力が高まります。
日々のお手入れ
最後に羽毛布団のお手入れ方法についてです。日々のお手入れは風通しの良い場所で陰干しが基本です。布団の側地や羽毛に残る湿気を飛ばすことで羽毛の劣化や匂いの原因となる事を防ぐことができます。
一週間に一度程、日差しの弱い午前中に1時間程度、日光に当ててダニ対策をすると、より快適に使用できます。ただ直射日光は側地にダメージを与えますので日差しの強い午後や、長時間日光に当てることは避けた方が良いです。
当然ですが、布団おばさんのように布団叩きで叩くのは絶対にやめてください。側地が傷み羽毛が出てくる原因となります。
少し前に話題となった「干すよりキレイ」がキャッチコピーのレイコップの使用も効果的です。ラインナップも増えや機能も進化していて、久しぶりにホームページをみて驚きました。
シーズン外のお手入れ・保管方法
シーズン終了後の保管方法についてご説明します。シーズン終了後、羽毛布団を仕舞う前には必ず風通しの良い場所で、陰干しをしてください。布団の中に残る湿気が匂いの原因になりますのでご注意ください。
数年に一度は羽毛布団クリーニングの専門業者に出す事をお勧めします。羽毛に着いた汚れが取れふっくらと羽毛が蘇り、布団が長持ちします。自宅まで取りに来てくれるなど便利なサービスが充実しています。
保管は、購入時に付属されている布団袋に入れて押入れに仕舞うのが一番簡単です。布団圧縮袋での保管は羽毛や側地へダメージを与えるため避けてください。4人家族の場合押入れの場所を取るため、レンタル倉庫など利用するのも手ですね。
以上羽毛布団の選び方でした。
5年ほど前、子供の誕生に合わせ、寝室を子供部屋にするためベッドから敷き布団に。
敷き布団を買い換えるタイミングで、色々と調べる内に寝具マニアになりました。寝具好き目線で羽毛布団について書いてみました。
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