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羽毛布団の選び方│銀座と日本橋と布団と老舗(西川)

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朝晩の冷えこみとともに布団が恋しくなるこの季節。今年こそは暖かい布団を買いたいと思いながら毎年買う時期を逃してしまい数年が経ちます。

本日はそんな布団にまつわるお話と羽毛布団の選び方をご紹介します。

銀座の地名の由来のお話をした時に登場した「金座」。江戸時代、両替町では金貨の鋳造を行っていたため通称「金座」と呼ばれていました。この金座に対して、銀貨の鋳造を行っていた当時の新両替町を「銀座」と読んでいたことが銀座という地名の発祥と言われています。

この金座と呼ばれていた時代より、日本橋に店をかまえる老舗があります。寝具メーカーの「西川」です。当時の西川の主要商品は蚊帳・畳表・弓。明治に入り弓の取引高の減少がきっかけで布団の取り扱いが始まったと言われています。明治に入り人々の生活が裕福になりつつあった事、当時の主力商品のひとつである蚊帳が夏に特化した商品であった事から、冬が最盛期になる布団は季節商品としてバッチリだったからとも言われています。当時の布団は綿布団が中心だったそうです。

時代は変わって現在の冬の定番の寝具といえば羽毛布団。冬が近づくとともにテレビショッピングでは格安の羽毛布団が登場しますが、皆一様に、高級高品質暖かさを強調する宣伝文句で彩られています。ただすべてのふとんが表示通りだとは思えません。「今年こそ羽毛ふとんを買おう!」と購入をお考えの方に、私が西川の販売員さんに聞いた羽毛布団選びの5つのポイントをご紹介します。不思議な事に5のポイントを押さえるだけで羽毛布団の良し悪しの見分けがある程度分かりますのでぜひご一読ください。

羽毛ふとん選び5つのポイント

  1. 羽毛(ダウン)の種類
  2. 羽毛の量
  3. ダウンとフェザーの比率
  4. キルト
  5. 側生地

羽毛(ダウン)の種類


まず羽毛は大きく分けると「ダックダウン」と「グースダウン」「マザーグースダウン」の3つに分類されます。ダックダウンはアヒル、グースダウンはガチョウの羽毛で、グースの方が体格が大きいため取れる羽毛の一つ一つが大きく、ダウンパワー(ふっくら感)も高く、沢山の空気を集めることができるため保温力が高くなります。その分お値段もグースの方が高くなります。

またグースダウンの中でもより保温力が高いのがマザーグースダウンです。マザーグースダウンとはグースの親鳥から取れる大きくて腰の強い良質な羽毛です。そもそも羽毛は食用として育てられたグースから取れる副産物で肉質の柔らかい若鶏のうちに出荷されるため親鳥になるまで育てられるグースは数少なく、希少です。ちなみにグースの味は淡白で鶏の方が美味しいらしく、主に食べられているヨーロッパでも人気が落ちているそうです。その結果飼育量が減り、副産物である羽毛の価格も以前より上がっているそうです。

羽毛の充填量

羽毛ふとんの購入にあたり、気になることは羽毛の充填量です。平均的に本掛け(冬用)で1~1.5kg。良くテレビで「今なら羽毛増量中!」と宣伝していますが、同じ品質の羽毛なら量が多いほど暖かい事は間違いないのですが、羽毛ふとんの特徴の一つである軽さが損なわれてしまいます。上質な羽毛ふとんは軽くて保温力(暖かさ)が高いことが価値です。ダック、グース、マザーグースとそれぞれの羽毛が持つ保温力に合わせた充填量を選ぶことが重要となります。

ダウンとフェザーの比率


羽毛ふとんの表示にダウン○○%と表記されていますがこれはふとんのなかに占めるダウンの比率になります。ダウンの中にフェザー(羽の軸部分)が混ざっているのですが純粋なダウンが締める比率を表しています。こちらも品質によりますが90%以上のものが良質で93%、95%と上がるにつれ高品質になっていきます。フェザーは羽軸に油分が含まれているため、臭いの原因になりますし、ダウンに比べると保温力が落るため、ダウン比率が高い方が高品質と言えます。ダウンはとても軽い素材のため5%の違いでもダウンの量が大きく変わり、暖かさが変わりますので注意が必要です。

ちなみに臭いが気になる場合は風通しの良いところで陰干しすることで軽減します。

キルト


布団のキルト(マス)の数です。一般的には横が4キルト×縦が5キルトまたは、横が5キルト×縦が6キルトの2種類があります。キルトが細かい分、ふとんが身体にフィットするため高級羽毛ふとんでは5×6キルトが採用されています。またキルトが細かい方がそれぞれのマスの中で羽毛が動かない、偏りが出ないため保温力が安定すると言われています。しかし、過度に細かいキルトは羽毛の膨らみを妨げるため逆効果になってしまいますので5×6キルト以上のものはあまり見かけません。最近では身体のラインに合わせふとんがフィットするように立体的にキルティングされたふとんも発売されているように、いかに身体とふとんの間(特に首もとに)隙間を無くすかがポイントとなっています。

側生地


ふとんの周りの生地を側生地と言います。この側生地は見逃されがちですが、ふとんの掛け心地に大きく影響を及ぼす重要なポイントになります。なぜならふとんはシングルサイズで横150cm×縦210cmありますので単純に考えても側生地は150cm×210cmの2倍(上・下)の分量があるからです。ひと昔前は綿100%が高級ふとんの代名詞でありましたが、近年はポリエステルなど化学繊維の技術が発達しているため必ずしもそうとは言えません。側生地に求められるポイントは次の3つです。

  1. 軽さ
  2. 柔らかさ
  3. 通気性

まず「軽さ」は前述の通り羽毛ふとんの特徴でもある軽さ、羽毛の膨らみに関わりますのでとても重要です。次に「柔らかさ」も同様前述の通りふとんが身体にフィットすることでより保温力が高まるため、身体にフィットしやすいように柔らかい素材が求められます。最後に「通気性」ですが、寝ている間に一晩でコップ一杯の汗をかくといわれています。羽毛のもう一つの特徴は通気性の良さです。熱をため込み湿気を逃がす、天然の調節機能を持つ羽毛の特徴を最大限に生かすためには通気性の良い側生地が求められます。

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羽毛ふとん広告の見方


以上の5つのポイントを押さえていただきながら羽毛ふとんの広告をみるとそれぞれの違いが分かるようになってきます。例えば

「高品質羽毛ふとん シングル 17000円」の場合

  1. 羽毛の種類・・・ダックダウン(ヨーロッパ産)
  2. 羽毛の充填量・・・1.1㎏
  3. ダウンとフェザーの比率・・・85%
  4. キルト・・・3×5キルト
  5. 側生地・・・ポリエステル85% 綿15%

こちらの商品は価格重視で羽毛ふとんとしてのグレードはとても低いです。まず羽毛の種類は保温力の低いダックダウン、産地もヨーロッパ産とどこでとれたものなのか分からないので、いろいろな産地の羽毛から安いものをブレンド?したのではと疑ってしまいます。充填量も1.1kg。このクラスですと1.5kgは欲しいところです。そしてダウンの比率についても85%といまひとつ。キルトは3×5マスと変形のタイプですが、フィット感はいまいちでしょう。そして側生地はポリエステルが85%。軽さはでますが、おそらく通気性はかなり悪いのではないでしょうか。特価品として出されていましたので、価格を抑えるため、様々なところで節約したのだな、ということが良く分かると思います。

「ハンガリー産ホワイトダックダウン シングル 30,000円」の場合

  1. 羽毛の種類・・・ダックダウン(ハンガリー産)
  2. 羽毛の充填量・・・1.2㎏
  3. ダウンとフェザーの比率・・・90%
  4. キルト・・・5×6キルト
  5. 側生地・・・ポリエステル85% 綿15%

こちらも価格重視の羽毛ふとんですが、安心して買い求められる羽毛ふとんではないかと思います。まず羽毛の種類ですが、ダックダウン。上記のふとんと同じですが、ハンガリー産と表記があります。ハンガリーは羽毛の産地のひとつであり、品質はある程度保証されていますので、ヨーロッパ産というあまりにも広い表示にくらべれば安心感が違います。充填量は1.2㎏ですが、ダウンの比率が90%、キルトも5×6キルトですので、お客様用や新陳代謝の高い若い方でしたら十分満足いただけるかと思います。側生地については上記と変わりませんが、軽さを出すためと思えば納得できます。

「ポーランド産ホワイトグース シングル 50,000円」の場合

  1. 羽毛の種類・・・ホワイトグースダウン(ポーランド産)
  2. 羽毛の充填量・・・1.2㎏
  3. ダウンとフェザーの比率・・・90%
  4. キルト・・・5×6キルト
  5. 側生地・・・綿70% ポリエステル30%

このクラスになると安心しておすすめできます。まず羽毛の種類はグースダウン。ホワイトグースです。ホワイトグース、シルバーグースの違いは羽毛の色だけで保温力については変わりありません。充填量は1.2kgと十分。ダウン比率も90%とまずまず。キルトも5×6マス。そして側生地が綿70%、ポリエステル30%です。綿の通気性、ポリエステルの軽さのバランスが良い生地だと思われます。先ほどのふとんよりも上質なものを求めている方、新陳代謝が高い、またはマンションなど気密性の高い住宅に住まわれている方にはおすすめです。

「ポーランド産ホワイトマザーグースダウン 側生地ピンクのみ シングル 120,000円」の場合

  1. 羽毛の種類・・・ホワイトマザーグースダウン(ポーランド産)
  2. 羽毛の充填量・・・1.1㎏
  3. ダウンとフェザーの比率・・・95%
  4. キルト・・・5×6キルト
  5. 側生地・・・ポリエステル100% サテン織

今回ご紹介するなかでは一番良質なふとんです。まず羽毛の種類はポーランド産のマザーグース。ポーランドは国土の大半が低地で湖や沼がおおく、グースを飼育するには最適な環境といわれています。そのなかでも希少なマザーグースを使用していますので申し分ないです。充填量は1.1kgですが、マザーグースですから問題ありません。ダウンの比率は95%と最高ランク、キルトも5×6キルト。側生地は綿100%でさらになめらかさを出すためにサテン生地を使用するなど、羽毛の持つ力を最大限に引き出している作りになっていると言えるでしょう。側生地ピンクのみはおそらく、生地が残り少ない、または人気のなかった柄で、処分価格で提供されているため、より質が高いことが予想されます。側生地の色やデザインですが、カバーをしてしまえば見えることはありませんので、気にしないのであればお買い得です。

まとめ


以上のように羽毛ふとんの5つのポイントを押さえれば、広告の文字を見るだけである程度の内容が分かるようになります。価格の安さ、高級や高品質という言葉だけで選ばず、羽毛ふとんの持つ特徴を見て、間違えのないお買い物をお楽しみください。


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